1月7日(木)

もうすぐ雪が降る
わたしの
半分は嘘で 他の二割は信じられない
そして残りは
自分にも(わからない ことばかり

それを聞く あなたにとって
わたしは あたることのない天気予報 
声は 三分後には 忘れられている(だろう
未来はいつも 雪が降るか 降らないかに 分かれていき
あとは 震えて 遠い夕陽や 無機質なLEDの
光に(かくれてしまう 
もうすぐ雪が降る

北の国では
いま 猛烈に雪が降っている
という 知らない人の声
けれどここでは そんなことは(わからない
わかっているのは 
もうすぐ雪が降る と呟いているわたしが
もうすぐ降る雪を まっているのか まっていないのか
と いうことだけ(うそだけど

もうすぐ雪が降る
マスクで顔を半分隠して
肺からの 呼気で 声帯を震わせている
(五秒に一二度 まばたきして
自分の声の 波長がいつも よそよそしくて
だからもう一度 ちいさく呟いて
もうすぐ雪が降る の間の
不連続の間にだけ
わたしはいる

頑張れないよね これ以上
ずっと窮地を 耐えてきたのに
逃げたくても逃げる所が 地球上にはないのだから
やっぱり通過する 列車に引き寄せられるのって 怖いよね
死ぬつもり なんかないのに 引き寄せられて
勝手にからだが 前にすすんでいくの

もうすぐ雪が降る
だれも聞く人はいない
もうすぐ雪だけど

福岡市・薬院
渡辺玄英