<天プラ・セレクションvol.83>
秋山基夫 展「詩からの自由/詩への自由」
詩人や詩周辺だけではなく多方面のアーティストからも絶大な支持を受けSYLP Meetingにも過去3回出演した岡山在住の詩人、秋山基夫さんのインスタレーション展岡山県天神山文化プラザで開催されます。
長年に亘り詩を本の外に開く活動を志向し続けて来たまさにobla( )tの体現と言える秋山さんの現在、その”生きている詩”をぜひ体感してください。
秋山基夫は、自作詩の朗読を重視する詩派「オーラル派」を関西で創生・牽引した詩人です。1960年代後半から片桐ユズル、有馬敲らとともに詩の朗読を始め、1970年代はカフェギャラリーの先駆けとも言われる京都の喫茶店「ほんやら洞」を拠点に全国各地で活動しました。岡山においても、戦後文化を牽引した山本遣太郎をはじめ、永瀬清子、寺田武弘、髙原洋一、福間健二、山崎繁男など文学・演劇・美術等ジャンルを超えた多彩なアーティスト達と交流。その縦横無尽な活動の軌跡は、詩集・脚本・評論集・詩誌等の出版物に留まらず、朗読会や展覧会など多岐にわたります。
本展は、原稿、写真、映像、音源、出版本等によるインスタレーション展示に加え、岡山のアーティスト達との新作コラボレーション、朗読ライブと多彩な要素で構成し、「詩はライブ」をモットーとする作家の「今」に触れていただきます。誰もが発信者になり得る現代において、私たちは氾濫する文字や過剰なメッセージに麻痺し、言葉の力を見失いがちです。言葉を駆使した芸術である詩、そして身体全体を使ったコミュニケーションである朗読は、言葉に対する実感を呼び覚ましてくれることでしょう。
「自分の目でじかに見ることができ、自分の耳でじかに聞くことができ、自分の声がそのままだれかの耳にとどく、そういうナニゴトか」*に出会える秋山基夫展をお楽しみください。
*秋山基夫「詩の朗読についての2,3のコメント」より