1月3日(日)

グレゴリオ暦というヒトに不調和な太陽暦が
新年を連れてきても
わたしたちの身体は まだ
2020年にぶら下がっている

感染がピークをむかえる中を
夫が初席に出かけていく
観客は集まらなくていいんだ 
誰も出かけないに越したことはないんだから

寄席には年中無休という矜恃があるらしい 
(3.11の時すら休まなかったのだから夏の中止は前代未聞)
緊急事態宣言も再発令かというのに

高座があるならそこに座るよ 
辞するという選択があってもしない
遣わされた地点で
そのときできることを

縁起ものという言葉では足りない
笑いを祓いにしたいひとたちが つかの間
不安じゃないものでむすびつく
とどこおる息がマスクの中で爆ぜて
その間にやどるのは
予言通りの
あたらしい青空であればいい

紋付袴にインバネス
ひるがえす裾が もう風を起こしている
不穏の包囲を
散り散りにするための

東京・目黒
覚 和歌子