朝の道の脇で芙蓉が開花している
鯛の皮膚に似た淡色の
椀状の花弁が風に揺れるさまは
どこか現実の事物とは違い
別の世界の水面に
そっと触れているようだ
朝起きると
たまに
夢を見ていたのか
何かに夢を見せられていたのかが
分からなくなる
夢の中で
わたしは〈わたし〉の後ろ姿を目視したことがある
大風が吹くと
水に映る光景は屈折し
夢が夢に近づく
福岡・博多
石松佳
石松佳
朝の道の脇で芙蓉が開花している
鯛の皮膚に似た淡色の
椀状の花弁が風に揺れるさまは
どこか現実の事物とは違い
別の世界の水面に
そっと触れているようだ
朝起きると
たまに
夢を見ていたのか
何かに夢を見せられていたのかが
分からなくなる
夢の中で
わたしは〈わたし〉の後ろ姿を目視したことがある
大風が吹くと
水に映る光景は屈折し
夢が夢に近づく