1月24日(日)

痛みなく上滑る今日は曇天で
手にするもの目にするものがつるつると滑っていく
制限をかけて素直に減っているらしき数字を追っても
ぽたぽたと滴っていく
そういえば数字ばかりを観察する習慣ができた

これはもしかしたら
悲しさなんじゃないだろうか

悲しさは 
悲しいと思う私がいて
悲しさになってしまうのだけれど
今日の私は軽やかさでも楽しさでもなく
悲しさを選んでいるのだと思う

曇天を見上げて歩けば
頭の重みに沈んで湾曲していた首が驚いて
歩くごとに反対側の軌道になじんでいく

涙がこぼれないことよりも
知らない筋道に気づくこと
解放をたぐることの方が
ずっと大事だ

空の雨は止んでも
山が水を含ませて
湧き出てくること
湿り気のある土を
踏みかためること

何にもない場所にある何でもあることが
今日もまた囁いているのに
遠ざかる約束の音が
ずっと大きい

大分・耶馬溪
藤倉めぐみ