12月3日(木)

剝きたてのそれは
わかい女の、はち切れそう
ちゃんとあるんだもの、乳首が
そこだけは皮を残し、
ふるふると風にそよげば
重力が、
ツッと引っぱって

だんだんにしぼんでく
ちょっと当たっただけでも
黒ずんだ染みになるのだから、女の肌とそっくりですよ

あぁ、あの頃は、おばあちゃんのに
しゃぶりついていたっけなぁ
添い寝して、
揺られて、熟して、
とろける夢を見さしてもらっていたものねぇ

三十も吊るしたのですよ、ことしは
ベランダで
渋みが抜けて、
亡くなって、
燃えさったとき
乳がんが切除したそのひと房が
どこかでホルマリン漬けになっていまいか
わたしは本気で夢想したが、

たわわに、
 たわわに、

夕陽色の肉塊よ
 のどやかな蘇生術よ

――気ニヤムコタァナイ
  キョウ達者ナラ

なつかしい声がする

神奈川・横浜
新井高子