11月11日(水)

足の爪は、はやい
手のほうは、おんなじ
かみの毛はもともとスケベ根性だったし、
垢のぽろぽろは、ちと遅くなった気がする

わたしばかりじゃないだろう、
からだに向きあうじかんが増えたのは

なぜに足の爪ばかりがむやみか、
夫にたずねると
運動するとのびるのだと、
ならば、コロナ禍なわたしは
足をやたらと動かし、
(心当たりはなく、
 眠りながら走っていたとしか思えないが)
あたまと手はどうにかで、
汗のかき方がなってない、ということか

ぶぶん、ぶぶん、
じつは、違うじかんのなかを生きてるのか、
とも思う
わかいのは脚力、
頭脳や指さきは月並みで、
みるみる肌が老けてるのかも
(それは、こわいね)
でも、時間論からすれば逆じゃない?
(それも、こわいよ)

八本足のそれぞれが、
べつべつの砂時計をにぎっている蛸、
あんがい、
生きてるからだの真実ではありませんか

もっぱら肺を狙うウィルスも
爪をのばし、
駆けってて

神奈川・横浜
新井高子