10月8日(木)

さ、も行かんと。
まーさか、コロナなんかであるもんか、
いつまでもここにおったってきりがなかろうが。
旨いもんも綺麗なもんも、ありすぎて味わいきれんのだから
どっかですぱっと見切らんと。
どこへ行くか、て?
それはわしの胆管癌が知っとうたい。
剥離した網膜も溶けたキヌタ骨も圧迫された脊椎も血糖値にも分かっちょる。
ココロだけがまだうろうろおろおろしとるが
なーに心配せんでよろし。
ほっといたら後から勝手についてきよるわ。
大体このココロちゅうもんは
コロナに似とるね。
どっちも目には見えんじゃろ。それでいて
生きたカラダのぬくもりがないとすぐに消え失せてしまう
そう思えばカワイイもんじゃ。
さ、こんな話しとったらきりがない。
わしは行くぞ、今度こそほんとに行くぞ。
なんで泣くことがあるか。
最近どこにでも垂れ下がっとるビニールの暖簾みたいなのがあろうが
あれをひらりと捲るだけっちゃ。
こっちからみたらあっちがあっちじゃが
あっちからみたらこっちがあっちであっちゃこっちゃや。
人間はちと大きすぎるがね
クォークだのレプトンだのはしじゅう往ったり来たりしとるわい。
さみしゅうなったら線香でも焚火でも
立ち昇る煙の渦の動きをなぞって全身で踊りんさい。
だがなによりも大切なのは、手洗い、うがい、マスクの着用。
あもうみとったらいかんよ。
バイ、バイ。

鹿児島・串木野
四元康祐