9月18日(金)

暑さを続ける空から
いつの間にか秋が露出している
いつの間にか総理も変わっているし
いつの間にかGo toに東京が加わって
我々は流行が収束に向かっていると
いつの間にか気をゆるめている

この間久しぶりに新幹線に乗った
互いの顔すら見ない
配慮された孤立の中で
マスクをはずし
弁当を食べると前と同じ
美味い

遠くうつくしいままの山の中で
寺院は変わらず
時間の縦糸に追従していた
歩き果てた私が
汗で濡れた帽子を脱ぎ
立ち止まって疲れをほどくと
霧が纏わるように山すそに立ちこめて
忍従から突きはなたれた
心はいっとき離散を忘れた

旅から戻ると
海が荒れている
秋雨前線が発生していて
やはりもう秋だった
遊びをやめかねた人たちが
波の荒さにおびえたように
薄着の身体を寄せあっていて
波か風か
運ばれてきたちいさな枝が
浜のあちこちにつき刺さっていた

神奈川県片瀬海岸・江の島
永方佑樹