9月4日(金)

日が西から
南へ回った
なにかを盗むように
そっと、すこしずつ

まぶしくなってきた
南窓の光には
透明で、情け容赦のないものが
隠れている

無力だった子供の私が
黙って砂のように
奪われていったものを
助長する種類の光

いのちを盗まれている夏は
声も上げられずに
叫びの口の形をして
最後の子供を産んでいる

百日紅の花房には
まだ緑色のつぼみがいっぱいだ

千葉・市川
柏木麻里