秋の入口みたいな温度計
こごえながら炊飯器をあける
足りないから
洗う
つぶつぶしたもの
日々のしこりが残って
ぜんぶ触りつくした夕方が
あつまって
散る
だれかの詩を読む
赤い文字を記していく
感情すら
わたしが裁いて
よりそわないまま
会話をつづける一日のさかいめを失ったとき
分厚い上着を羽織って
カーテンを閉める手つきで
ななめに
雨が降りはじめて
それを見ながら
雨が降っていると
おもった
北海道・札幌
三角みづ紀
三角みづ紀
秋の入口みたいな温度計
こごえながら炊飯器をあける
足りないから
洗う
つぶつぶしたもの
日々のしこりが残って
ぜんぶ触りつくした夕方が
あつまって
散る
だれかの詩を読む
赤い文字を記していく
感情すら
わたしが裁いて
よりそわないまま
会話をつづける一日のさかいめを失ったとき
分厚い上着を羽織って
カーテンを閉める手つきで
ななめに
雨が降りはじめて
それを見ながら
雨が降っていると
おもった