7月20日(月)

今日もまた不備書類の督促だ
コロナを理由にごまかすな
電話の向こうの女の声
書類を通してくれないと
大変なことになると言う
ならば登記を完了してよ
守るべきは顧客の権利だろ

人の世界が遠い

すこしづつ
恨まれる
仕事ではある

すこしづつ
消えてゆくわたし
全体が色褪せてゆくのではなく
ただ、薄くなってゆく

仕事帰りの駅のベンチで
昨日見てきた足利市立美術館『如鳩と沼田居』展の画像を見ている

足利は昭和40年代まで
旅の絵師を共同体で養う、みたいな文化が残っていた
全盲になっても
絵を描き続けた長谷川沼田居
その師にして
聖堂の犬に
1日中説教をしていた正教の伝教者、牧島如鳩
フランスの
かの聖人のように

電車一本をやり過ごすうちに
展覧会をひとつ見ると言うこと
もう豆は煮ないから
電車一本やり過ごすうちに
自分の一生を見てしまったような

そんな夕暮ではある

小平市
田野倉康一