十月がはじまる
いつもはじまる
飛行機の残り香と
こまかく砕いた肉の音
秋になったので
ぼくたちはちがう季節に佇んでいた
延長線———
の、うえを歩いている
早朝と夜の雨
夕方は眠っていたので記憶にない
ずっと紛失したままだと
どうにか認められたころ
アフターやウィズ、
という言葉で
やりすごすやりきれなさが
カーテンを 閉めるたびに
身体を覆っていくのだった
いくえにも
紅葉していく丘を
直視してはいけない
北海道・札幌
三角みづ紀
三角みづ紀
十月がはじまる
いつもはじまる
飛行機の残り香と
こまかく砕いた肉の音
秋になったので
ぼくたちはちがう季節に佇んでいた
延長線———
の、うえを歩いている
早朝と夜の雨
夕方は眠っていたので記憶にない
ずっと紛失したままだと
どうにか認められたころ
アフターやウィズ、
という言葉で
やりすごすやりきれなさが
カーテンを 閉めるたびに
身体を覆っていくのだった
いくえにも
紅葉していく丘を
直視してはいけない