2月27日(土)

食べずに古くなったキウイがいくつかあったので、
4個を選び、2個を薄くスライスして2個は賽の目切り
さらに皮の黒くなったバナナ1本も細かく切って
ホットケーキミックスに混ぜて
ケーキを作った
炊飯器で焼いて、まだ焼きが足りないのでフライパンに移して焼いた
焼いたら
果物は元来た場所を語り始めた
甘酸っぱくなったキウイは、典雅な川をさかのぼり始め
バナナは、私は芋のように食べてもらっていいです、と話し始めた
それを聞いていると
猿のことを思った
頌めという名の小さな猿のことを

それは高い木にのぼって
遠くの平らな山が見たくて見たくて
海から陸へ上がった

海から上がったのは
見たいものがあったから
したいことがあったから
けっして捨てられたり、もぎとられたのではなかった

そして海から来たものだから
猿も
海の生きものを名乗ってよい

さいごの一人が
壮麗な夕陽
海に沈む夕陽を
頌める
その
頌めだけが
もはや体のない頌めこそが
地球に残る
われわれの子孫

という歌を
未来を見てきた歌を
温かいキウイが歌って聞かせてくれた

千葉・市川
柏木麻里