2月25日(木)

蒼空がきれいだ
それだけをおもって歩いた
日々の生活に困難が山盛り押し寄せてきて
現実的に対処しなきゃならないから考えたり調べたり
動いているけれど
こころが散らばっていく
持ちこたえられなくなりそうで
できるだけ顔をあげて遠くを見ながら歩いた
昨日は
とてもいいお天気だった
だけど帰宅後は
体中の力が抜け落ちるみたいに起き上がれなくなる
指先から奪われて冷えて
つめたい瞼をぎゅっと閉じる
眠れないまま
染み込んだはずの蒼空をかきあつめ
夜のなかへ潜り込むと
女ともだちからのLINEの言葉がときどき灯って
散らばっていたところをかすめるたび
少しずつ整えられていく
朝になれば
空気の日記の当番日だから
こんな今をいったいどう書けるのだろうと
手探りをする
わたしの暗闇はわたしだけのもの
説明はできないし
わかってもらいたいというのではない
それでもわたしのなかで言葉はまだ生きていて
動いて
どこかへ届こうとする
そのことがわたしを支える
蒼空がきれい
きれいだったよ
重なりあう建物に遮られ暗い機影に切断されても
広々とひかりはそこにある
滅びていくときもきっと蒼ざめてそこに
あかるんでいる
誰もがそれぞれの暗闇と蒼空を抱えて昼と夜を漂い
どこかわからないそこへ
いつかたどり着く

東京・神宮前
川口晴美