12月2日(水)

駅までの道
風がつめたい
マスクをつけていると
ほっとするなんて

改札へ向かうひとたちと
いつものように
距離を保ったまま
急いであるく


だれもいない歩道で
好きなだけ
落ち葉や
ゆきにふれていたのは
いつのことだろう

つまさきや ゆびがどんなに冷えても
そこに立っていた わたしと
いつ
離れてしまったのだろう

きょうの東京の新たな感染者は500人

だれも話さない
混んだ電車は
とてもしずかで
窓のそとは
ずっと雲っていて
だからマスクはあたたかくて

向かっているのか
逃げているのか
いまはわからなくても
わたしも
あなたも
それぞれの
朝の駅で降りる

ふたたび冬がはじまった街で
それぞれの
きょう
いちにちを
生きのびるために

東京・杉並
峯澤典子