11月19日(木)

夜明けの訪れが遅くなって
目を覚ましてもまだ、夜が離れないままでいる
青暗い空に、山の輪郭だけが灰色に滲むのを
布団から見つめるのが好きだ

乾いた秋風と朝夕の冷たさが厳しくなるほど
あか、だいだい、きいろ、ちゃいろの
山の装いが増して

今年は
ひときわ 紅葉の色づきがよく
ひときわ 観光客が訪れている

もう、こんなにも欲しい
外を
色を

「木は 人が好きだよ」
と言われたことを思い出す
きっと木にあたためられている

ひらひらの
ぱらぱらの
落葉を
せいいっぱいに集めて
ごろごろに寝転んで
かさかさに埋もれたら
もう笑ってしまうしかないね
だって、秋がちらばっている

ねえ
触れ合わない唇で味わえるものは
もう全部、味わい尽くしたんじゃないかな

ねえ
まだあるのかな

大分・耶馬溪
藤倉めぐみ