11月1日(日)

出かける前にFacebookをチェックすると
Aがとても困っている

Aはニューヨークに住んでいて
街ではNY State lawにより
マスクとソーシャルディスタンスが義務化されているはずなのに
どこに行っても安心なはずなのに
住んでいるビルディングの中で
住民がマスクをしないらしい

Aはそんなに若くない
93歳の母親だっている
だから
エレベーターで一緒になった住民達に
「マスクをして/ I try to ask my neighbors to wear masks」と頼んだところ
脅され /threatened by them
写真を撮られ /take my photo
警備員達ですらAの事を脅してきたそうだ /security guards threaten me
(I do not feel safe in my home. It’s like psycho-land here)

そんなAの記事に
コメントを書こうかどうか迷って
結局「悲しいね」ボタンだけ押すと
映画を観に
私は東中野に向かう

到着した
「ポレポレ東中野」では
色とりどりのマスクをつけ
行儀よくぴったりと並んでいる
たくさんの人達が既にいる

みんなの目的は
『私たちの青春、台湾』
2014年に台湾で起きた学生運動
「ひまわり運動」に参加した
台湾人と大陸/中国人の
前後を追ったドキュメンタリーだ

そんな映画だから当然
香港も天安門も出てくるし
香港のあの雨傘運動と
台湾のこのひまわり運動とが
関係者同士で連絡を取り合い
連携していた事をはじめて知ったが
多くの革命や運動が
辿ってきた故事そのままに
どんなに盛り上がりを見せ
立法院を占拠したりするような
成果が一時期あったとしても
必ず来る終わりを
彼らだって回避は出来ない

映画の前半で
社会を語り、よく走っていた
陳為廷は今はもう
台湾に居場所を無くして
アメリカ留学を目指しているし
大陸人にも関わらず
ひまわり運動に参加した
蔡博芸は
ずっと彼女を心配していた
家族のいる中国に戻り
もはや連絡すら
今は容易に取る事が出来ない
(そういえば映画の中で
彼らと共にご飯を食べ
笑い合っていた
香港雨傘運動の指導者の
黄之鋒もつい先日
一時逮捕されたのだっけ)

上映後
台北にいる監督と会場がオンラインで繋がれて
本日のゲストのY先生とトーク
中国語が堪能なY先生と
監督とのやりとりは軽妙で
観客にしたって
遠い場所とオンラインで瞬時に繋がる状況を
今や日常のように感じているから
トークは時間通りスムーズに進むけど
明るく振舞っている
監督はどこか疲れて見える
Y先生が聞くと
やはり疲れているという
この映画は
台湾のアカデミー賞である
金馬奨を受賞したし
世界中をコンペで回ったけど
国内で
「お前は緑(民進党)なんだろう」だとか
色々言われ
関係者にも迷惑をかけたりして
その後コロナ禍もあったから
今はとても疲れているという

トークが終わると
次の回が始まる前に
全部の席を消毒するというので
慌てて外に出ると
続けて上映される
『相撲道~サムライを継ぐ者たち~』を観るべく
人々が列をなし並んでいる
友人と共に
パスタでも食べようかと
その後向かった店にも長蛇の列
どうやら前日
美川憲一が来店して
「美味しいわよ」とポーズを決め
インスタに写真を上げたらしい

江ノ島に戻ると
日曜日の海で子供達が遊んでいる
いつものように
「空気の日記」に添える写真を撮りに
iphoneと鍵だけを持った軽装で
何枚かシャッターを押しているうちに
うっかりマスクをし忘れている
自分の顔にふと気づく

神奈川県片瀬海岸・江の島
永方佑樹