10月23日(金)

ひっきりなしに
窓が波打つから
きょうは潜水艦の暮らしだ

すっかり染まった丘が
全身を揺らして
うねって

舟に乗るわたしは
まどろみながら
時間を取り戻さない

陸にあがるころ
ようやくはじまる一日もあって
赤や黄色が触手になる

頷きもせず
抗いもせず
数え続けて

はげしく降るなかで
ひとりで 高く
旋回している鳥

濡れてもかまわないほど
言語を持っていない
その覚悟はない

北海道・札幌
三角みづ紀