ひっきりなしに
窓が波打つから
きょうは潜水艦の暮らしだ
すっかり染まった丘が
全身を揺らして
うねって
舟に乗るわたしは
まどろみながら
時間を取り戻さない
陸にあがるころ
ようやくはじまる一日もあって
赤や黄色が触手になる
頷きもせず
抗いもせず
数え続けて
はげしく降るなかで
ひとりで 高く
旋回している鳥
濡れてもかまわないほど
言語を持っていない
その覚悟はない
北海道・札幌
三角みづ紀
三角みづ紀
ひっきりなしに
窓が波打つから
きょうは潜水艦の暮らしだ
すっかり染まった丘が
全身を揺らして
うねって
舟に乗るわたしは
まどろみながら
時間を取り戻さない
陸にあがるころ
ようやくはじまる一日もあって
赤や黄色が触手になる
頷きもせず
抗いもせず
数え続けて
はげしく降るなかで
ひとりで 高く
旋回している鳥
濡れてもかまわないほど
言語を持っていない
その覚悟はない