10月11日(日)

地球より遠いところへ行きたい
そう言うと
ぼくはこの部屋から出て行った
残されたのは
誰もいない部屋だが
いったい誰がこれを見ているのだろうか

秋の曇りの日には
よくそんなことがある
TVのニュースではコロナ禍で自殺が相次いでいるし
相模湾の南を颱風14号が通過しているらしい
だけどこの部屋は日本海の近くだし
ぼくはもう地球より遠い所に行ってしまったから
関係ないね

相模湾からは四年前にゴジラが現れて
世界はパニックになったし
丈高いカンナの花が赤く咲いていたこともあった
海辺に降りれば足元には星の砂もかがやいているだろう?
​地球もまんざら捨てたもんじゃない気がするね
とこれを読んでいるあなたは思うだろう

でもそんなことは分かってるんだ
だれも知らない街の駅に立って
電車が通過する刹那からだが自然と前に引き寄せられる
その謎こそが問題なんだ

秋の曇りの日には
ホントここに居ないほうがいいって気持ちになるよ

福岡・薬院
渡辺玄英