もうじき訪れる
端正な
雷雨を
待つ
木々もわたしも
それを受けいれて
木は色を濃くして身をかがめ
わたしは室内に
午後遅い蝋燭を灯して
聴きなれた蝉の声の中に
かぼそい
ツクツクボウシを聴いたのは昨日
明日
友人に会う
まったくちがう生き物になって
脱皮して会うふたり
待ち合わせるのが少し
気はずかしい
窓の外には
伸びすぎた百日紅が
花束のように広がる
十方世界
充足していないものは
なにもない
千葉・市川
柏木麻里
柏木麻里
もうじき訪れる
端正な
雷雨を
待つ
木々もわたしも
それを受けいれて
木は色を濃くして身をかがめ
わたしは室内に
午後遅い蝋燭を灯して
聴きなれた蝉の声の中に
かぼそい
ツクツクボウシを聴いたのは昨日
明日
友人に会う
まったくちがう生き物になって
脱皮して会うふたり
待ち合わせるのが少し
気はずかしい
窓の外には
伸びすぎた百日紅が
花束のように広がる
十方世界
充足していないものは
なにもない