8月1日(土)

そぐわなさから遠くしようと思うのに、大きなところから小さな箱が届いて、伝票には
「品名:布製マスク(荷送人指図不要)送付枚数25枚/60サイズ、案内文1枚」

止めるって聞いていたのにね
欲しいなんて言ってないのにね
こうやって虚ろになっていくね
おいてけぼりだね

「あれ、もう」っていつだって何度だって言ってしまうものだけど、雨季の7月が丸々すっぽりと抜け落ちて「あれ、もう8月」となってしまって。

身体を遠くに運ばない、ざわめかせない時間は、こんなに自分に折り重ならないで、時という枠組みだけが現れるものなんだなと発見をする。
ああ、これが待つことなのか。

この先を決めることもなければ寂しさを覚えることもなくて
涙も足りなければ震えも足りなくて
その分どこかの誰かに押し寄せているから
あなたがいなくなってしまうんじゃないかって

いてほしかった
あなたにいてほしかった
あなたがいなくなることは
交わらない私の喉元に
ゆっくり指を押し当てていくようで

滑らかな木肌から伸びる枝先に
赤い小さな花が
ぽぽぽぽぽ っと咲いた
百日紅

「夏に木から咲く花はすごく少ないから
今、東京はたくさん百日紅を植えているんですよ
オリンピックの時に花が映るようにしたくて」

そう教えてくれた君の
日に灼けた肌と
布に守られた肌の
境目を思い出す

そちらに花は咲いていますか?

大分・耶馬渓