7月18日(土)

きのうさいた
花なら、いいけど。
東京で293
埼玉で51

かこさいた
感染者数です。

最多を更新する
数字ばかり、目にしていると
まるで
数字に黙らせられた
かわいそうな
言葉の姿にも、見えてくる。

道ゆく人びとの
口を覆った、マスク姿が。

だんだん大きくなる
マスクには
もうひとつ、見覚えがあった。

津波のあと
巨大な防潮堤が建設されて
すっかり海の景色が隠れてしまった
東北の海岸線。

コロナのおかげで顔にも
高い防潮堤ができたようだ
隠れてしまったのは笑顔の水平線。

コロナの海岸には
黒船が来たように
なぜか、横文字もどっと押し寄せた。

ソーシャルディスタンス、アラート、リモート
ニューノーマル、そして、エピセンターだって。

ところがちっとも、馴染めない
横文字がさっぱり、身につかない。
なぜだろう。

クックパッドでレシピを検索すると
どんな料理もすぐできるが、すぐに忘れる。
台所に並んで母に一度習ったきりの卵焼きは
母が死んでも、忘れてないのに。

「さいきん、小さい文字が見えないので
お風呂場でシャンプーとコンディショナーの
区別に困るのよ」と、隣りでぼやいたら

まあちゃんが、「あら。
シャンプーの頭にはボツボツがあるのよ。
目の見えないひと用の」と風呂場で教えてくれて
日頃の悩みが、いっぱつで解決。

触れて、覚える。
そばで、教わる。

本当に、わかる時は
あたまではなくて、
すとんと、落ちるように
からだで、わかる。

からだに、沁みて
細胞が、記憶する。

なのに、
濃厚接触、密――
どれもが、悪いことになった、今。

オイ、コロナ
いったい、どうやって
わたしは
わかったらいいんだろう。

文通で知り合って、結婚した
幸せな夫婦をひと組、知っているのが
ちょっとした、希望かな。

コロナ、長丁場になりそうだね。

それでも
少しずつ、イベントの話が舞い込みはじめた。
主催者は(出演者も)
薄氷を踏む思いだろうが、文化の灯を消さない
ように、何とか個々の表現の生きのびる道をさがして、
ひっしで、みんな知恵を絞っている。
せめて、その思いに寄り添いたい。

ウイズコロナ

水コロナ、に聞こえる今日の、日本列島。

***
それでも
夏に向かって
元気はつらつの
いのちの、なかま。

草木、草花に
日々の大丈夫、をもらっています。

埼玉・飯能
宮尾節子