朝焼けが まぶしい大安の日
病院から電話がかかってくる
六時間後に亡くなって
うつくしい顔をしている
血のつながっていない彼
ちいさなお葬式の支度をする
お線香の香りを絶やさないよう
そばに座ってぼうっとしていた
白い布のしたで
もう呼吸はないから
微動だにしない
ひどく喉が渇く部屋にて
ちっとも減らない数を
毎日、かぞえているけれど
おじいちゃんは老衰で死んだので
かぞえられない数だ
砂糖菓子みたいな骨を
やけどしないように拾う
いのちが小さい箱におさまって
死後の世界が
あっても なくても
かまわない
北海道・札幌
三角みづ紀
三角みづ紀