4月13日(月)

ウイルスは私に感染されました
ムスーのウイルス、顔のないウイルスが私に冒されていく
窓の向こうには散る桜(2020年4月13日の散る桜の花びら
吹雪いている こごえるほど吹雪いている
(あなたが私を怖れていることはわかっている

白い花びら 一片ひとひらも私に感染して色褪せていく
自然の景観はこれほど容易に表情を変えるのだった
その内側を荒々しく喰いちらしているのは私だ
私は容易に色褪せていく私の夢を見ている
(私が私を怖れていることはわかっている

光の冠をもつウイルスも急激に色褪せていく
生はけっして輝いているばかりではない
暗い部屋で息をひそめる生もあるではないか
私に感染されているのだから時は意味を失う
(それはヒトの作り出した概念だから
世界は容易に色褪せてくずれていく

もう昨日までの街の喧騒はどこにもない
校庭に子らの声も途絶えている
(ときおり名のない草がゆれる
こうして世界は終わりました
たかが世界が終わっただけです
わたしはここで元気に増殖してます

福岡市・薬院
渡辺玄英